広瀬川アートIII - 川辺の微触感
もう2年前、2023年のことになりますが、前橋市の広瀬川河畔にて写真作品を展示していたことがあります。今回はその時のことについて書いてみます。
始まりは、かねてより仕事でお世話になっていた広告代理店から「今年の広瀬川アートにアーティストとして展示をしてみませんか」ご提案をいただいたことでした。
広瀬川アートというのは、年に一度の一定期間、広瀬川沿い(前橋のまちなか、前橋文学館の周辺)にてなんらかのアート展示が行われる催しで、その前年は木工職人の富田学さんが作品を展示していました。
お話をいただいた時点では、自分は「アーティスト」として指名された経験がなく、荷が重いなとも思いましたが、せっかくの機会ですしお世話になっている人からのお願いでしたので、是非にと引き受けることにしました。
広瀬川沿いで写真のアーティストとして何かを発表するなら、なにか広瀬川の見られ方に変化が起こるようなものが良いだろう、ということで、以下の3つのテーマで作品を撮影しました。
1. 低く、近く
広瀬川沿いは人気のお散歩スポットですが、私たち(特に大人)が見ているのはそれなりに高い目線です。子どもや猫、虫たちに近い目線で川沿いの景色を見たら、どんなふうに見えるだろう、という問いを立ててみました。
鳩の写真は車道沿いの最も目立つところに、葉の写真は文学館の前に展示されました。ちなみにこの木枠は前年出展の富田学さんに制作していただいたものです。
本当は猫や虫を撮影してみたかった、という邪な気持ちもありましたが、実際に広瀬川沿いにいたのは鳩ばっかりで、まあそれも事実なのでこれでヨシとしました。
2. ひろせがわテキスタイル
川沿いを歩いていると、いろいろな「パターン」や「模様に見えるもの」に遭遇します。それは人工物が作ったものだったり、自然が描いたものだったり、そのコラボレーションだったり。それらを生地にプリントし、テキスタイルのように表現したものがこの作品です。
もし、広瀬川沿いの景色を身にまとうことができたら。部屋に飾ることができたら。などと考えていると、じわじわ楽しくなってきます。
3. 川沿いのコレクション
どんな展示をすべきかアイデアを探しながら川沿いを歩いていて思いついたやつ。広瀬川沿いで収穫した落ち葉やドングリなどを拾い集めて並べて遊びました。コレクションのように並べたり、グラデーションになるように配置してみたり。
幼少期はこういった「無料の遊び」を作り出して何時間も過ごしていたことを思い出しましたし、実際これを撮影するために半日潰しました。
色眼鏡をもって歩く
これら3つの展示を作ってみてから意見がなんとなく立ち上がってきまして、それは「歩き方を変えることで地域の見え方が大きく変わる」ということでした。
歩き方を変えるというのは、なんらかの色眼鏡をもって歩くということです。ただボーっと散歩するのもよい(それが散歩の一番の魅力ではある)のですが、たとえば木を観察する、生き物を探す、しゃがんで低い位置から見る、落とし物を集める、そんなふうに簡単なミッションを据えてみると、今までスルーしていたものがたくさん見えるようになってきます。
すると、「店と店の間のなにもない空間」だったものが「ドングリ多発エリア」のようにおもしろスポットに変わることがあります(これが再解釈)。街におもしろスポットが増えれば、街のことがどんどん好きになる。これはとても小さなシビックプライドの種と言えるかもしれません。
そんなわけで、ご依頼いただいたのがきっかけではありましたが、私にとっても出身地である前橋市の広瀬川沿いをあらためて感じてよく考える大変貴重な経験になりましたし、機会があればどこかで展示をやってみたいなあと思えるようにもなりました。やってよかったと思います。
- Year
- 2023
- Site
- 広瀬川河畔(前橋市)
- Form
- 屋外展示













